糠床ブログ

不定期

クースティラーと言う剣について

 ツイッターだと長いので、ここにまとめておく第二弾

 

 昔 取ったメモの中にクースティラーと呼ばれる剣の記述があった

騎士見習いが持つ幅広の剣で身代金が払えなかった捕虜の首を撥ねるのに用いられた

 

 とだけあり、どの本からの記述なのか、アルファベットの綴りもないと言う酷いメモで、そのまま忘れていたのだが

 coutilier(クーティエ)と呼ばれる、15世紀のフランスにおける下級軍人の由来に

『coustille(クスティーユ)』と言う両刃の長いナイフ、もしくは短い剣を装備していたことだ、という記述があり

 coustilleの英語発音がカスティールで、クースティラーに近いと言えなくもない

 クーティエの表記ゆれの中にcoustillierというものがあり、この表記ならクースティラーと読める

 このクーティエはフランス軍ヒエラルキーで言うと、騎士、ランス騎兵(lances fournies)の下にあたり、イギリス騎士で言う、スクワイアではなくヨーマンにあたるのではないだろうか

 元来は歩兵や盗賊を指す言葉で、(百年戦争後の傭兵は略奪者になった)騎兵ではなく徒下でクスティーユに加えて短い槍(歩兵槍はもっと長い)や、ヴォウジェを装備していた

 防具はケトルハット、ジャックやブリガンダイン、ホーバーク、脚鎧であった

 15世紀半ばに兵科として詳細が語られるようになった頃には軽騎兵となり、16世紀初頭に大規模再編成の中でChevau-légersに統合されていった

 

 メモの記述にあった、身代金が払えなかった捕虜の首を撥ねたの部分は年代を考えると無きにしも非ずだが裏付ける文献は見つからなかった

 もし同じ記述を見掛けた、その本を持っているという人は、クースティラーはクスティーユかカスティールで、どんな形なのかはcoustilleでググって欲しい

 ちなみに、クースティーラーのようなメモが沢山書かれたノートを発見して頭を抱えている

 

懐中電灯で照らされて目が覚める

 

(注意:ゲームのネタバレを含む)

少し前にEpicGamesがRemedy Entertainmentの傑作アクションゲーム

『AlanWake』を無料配布していた

 

ざっくり言うとバイオハザードスティーブン・キングで味付けしてツインピークスを利かせたような作品でアクションゲームである

 

この作品はアクションゲームとしての面白さに作品のテーマが隠れてしまっている、実に語れる内容なのだ

 

タイトル名のアラン・ウェイク、これは主人公の名前で、売れっ子の作家という設定になっている

しかし、人気とは裏腹に本人は長いスランプに陥っており、それから逃避するために妻と田舎町に観光旅行へと訪れた______と言う導入ではじまり、トラブルをアクションで解決していくのがゲームの本筋なのだが、そこは実際に遊んでもらうのが一番なのでここでは作品テーマを語っていく

 

ネタバレ全開で説明すると、町の湖に潜む闇と呼ばれる超自然的な存在が、高いインスピレーションを持つ芸術家を媒体にして外の世界へ出てこようとしていて、媒体として狙われたアランは妻を人質に取られ、『ディパーチャー』という小説を書きあげる

そしてそれは我々が遊んでいる『アラン・ウェイク』というゲームなのだ

 

クリアした人は知っているが、ゲーム中でアランは光の守護者として闇を撃退する

自分で書いた小説に自分役として出ているのだ、これは自分で書いた小説に自分が出る事で闇が自分に手を出せないようにするフェイルセーフの面があるのだが

これによりゲーム内に出る人物は皆、アランによる創作の影響を受けるようになった

アラン本人も含めて

 

だから、ご都合主義のような展開が後半になるほど出るようになり、物語の歪さは大きくなっていく、アランが懐中電灯で照らしたり、散弾をブチ込むのはオマケである

そう、懐中電灯で照らしてから、散弾をブチ込むのだ、このゲームでは敵は光を当ててバリアを剥がさないと倒すことが出来ないゲームシステムになっていて、アクションに深みを与えている

 

光と闇という抽象的になりそうな対立をうまく落とし込んである、発売当時、このゲームをやり過ぎて、夜道を歩くのが怖くなり、飲み会の帰り、街灯の明かりが本当に有難かったのを思い出した

 

この秀逸なゲームシステムに隠れてしまっているが、光と闇の対立に対する答えがテーマと言える

ゲームを遊んでいると自分は光の側で、闇と戦う対立の最前線にいるので分かりにくいが『アラン・ウェイク』は打倒や排除の物語ではない

誰にも光と闇があり、どちらかの側に立って争うのではなく、自分の中のそれらを照らし合わせてよい選択をアウトプットし続けることが大切であると

だからこそアランは物語の最後で妻と抱き合わずロッジの部屋でタイプライターに向かい続けることを選んだ

 

作家で、しかも書いた小説が現実になるようになったら、誰でも責任を感じるだろうから当然だと感じるが、我々だって同じように誰かに影響を与えるのだ

頭の中の人物像に照らし合わせて、現実の本人と対峙している

ゲーム終盤、ゲームの案内人であるゼインがアランに語りかける

 

心を光で満たせ、と

 

そして、このゼインという人物は心の光と闇を最も体現している

言わば彼はアランの前任者であり、闇に媒体にされかけてアランのように撃退した

ただ、その方法は闇に囚われた恋人を殺害し、作品を処分して闇の力が広がるのを防ぐという荒っぽいものだった

闇と対立しているからと言って、彼の行った行為が光の側ではない事をゼインは象徴している

さらに言えばアランによって光の側として登場したゼインも闇から解放されるためにアランを利用したとも受け取れる演出がある

 

アランはゲーム中に何度か呟く、ゼインは失敗した、と

 

我々はいつでも自分 次第でトーマス・ゼインにもアラン・ウェイクにもなれる

 

 

 

 

 

Remedy Entertainmentの新作『Control』が海外では8月27日、日本では今年の秋予定となっています

 https://www.remedygames.com/games/control/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今そこにある危機

Devolver digitalのカンファレンス

有名サイトでは、ワリと冷笑気味というか大手を慮った記事を書かれていたが

個人的にはよう言うた!である

 

去年のカンファや須田51のトレーラーは初回のインパクトで持っていかれたが

今年のカンファはちょっと違う、去年のノリを使って言いたいことを言ってるという印象を受けた

 

冒頭でのやりとりは、E3そのものへの当てつけだと思った

 

わざわざ去年の、とか、フィードバックをと、前置きしているのは、旬が過ぎた言い訳ではなくて、去年のE3で何が起きたかを語りたいからだ

 

去年、Devolverのカンファレンスで司会者の頭が吹っ飛ぶ一方で

超刺激的なトレーラーを発表していたタイトル達のいくつかが実際はどうだったかは遊んだ人間ならまだ覚えていると思う

 

失敗した去年を模倣すると大々的に宣言し、実行するというやり方で

思いっきりトレーラー詐欺に注力している現状に対してド直球を投げた

 

なんでそうなったのか、答えはシンプルで

ゲーム内通貨と仮想通貨を一緒にした実通貨の発表を聞いて

ニヤニヤしてる(有名サイトのライターにはあの顔が苦笑いに見えたらしい)ゲームのゲの字も知らんオッサン達が会社の上にいるからだよ

 

ちなみに、インゲームアイテムをやりとりする仮想通貨ってのは、いくつか本当に作られたりしてる、どれも成功しなかったけど

 

即ち、ゲーム通貨と仮想通貨を一緒にした全く新しい商品なんてものはとっくに陳腐化したものなのだ

でも、わざわざ露悪的にまでその事を強調する、何故か?去年の今頃は、業界がマジでそうだったから

 

色んなゲーム会社がマイニングや、新仮想通貨の立ち上げ、ムダに豪華なセミナーやパーティーなんかに追われていた

おかげで若い姉ちゃんや酒をリースする会社が大忙しだったそうだ

そしてSCUMの宣伝、名前の通りのクソだと言うけど、マジで言ってそうで心配になる

 

GIFがSNSでバズった、My friend Pedro、そこからGIFについてネットでホントかどうかよく分からん事をペダンチックに披露する4chみたいな事したナードの兄ちゃん、炎上(物理)

去年のゲーム界は、様々なリーク情報や、告発にも揺れた、セクハラ、労働問題、キックスターターの金銭問題、等々、あまり話題にしたがるメディアも少なく、追記がないため現状では忘すれられてオシマイである

 

次はミニゲーム筐体、オールドスクールなゲームのValut!今同じソフトを買うとプレミア付いてるからお得!でも大体が昔あった抱き合わせのリブート版!

そしてそんな中で空気を読まないセガはやはり偉大だ

 

そこからメタルウルフカオスフルのHD版の宣伝、国内販売のみを想定して作られたフロム濃度1000%のゲームを今のアメリカで売ろうという

グレートアメリカメークアゲインである

 

スタッフロールが流れておしまい、とう言う中で謎の黒マントの男が

その正体は去年、スチームもどき(物理)で腕を失った人、見た目がプラネットテラーとエスケープフロムLAのニコイチというこれから何が起きるのかスグ分かる姿で、見た目通りのことをしてくれた

今年もNina女史がゴア表現満点の死に方をしてカンファレンスのトリを飾った

 

そしてオチは自社製品の皮を被せたバッタもんの詰め合わせをスチームで販売

Steamで1%オフ!

DevolverDirectの動画を配信

ここまでやると、もはやアートである

 

ゲーム界は今、とてつもない金脈となり、ここ数年間は色んな危機と向き合うことになっている、アヴェンジャーズみたいだ

新作トレーラーの解釈、誰がシコいのか、それも非常に重要だが

頭がおかしいけど、ゲームの事がストロングスタイルで好きなデベロッパーの悪ふざけを上っ面だけじゃなくて、彼らが出すゲームと同じように見てほしいと思った

 

ただ、開始までのクソみたいなコント見せられてると、腹が立つのも分かるし

インディーゲーで当てただけのクソッタレ野郎かもしれない

 

ペラい記事に腹を立てて家に帰ってからブログを書いてたら

某有名サイトも仕込みの濃さに気づいて、新しい記事を上げてるので、そっちも読んでください、カンファ以降の流れも一通り載ってます

 

 

 

 

 ロボットがデータ上の手作りパンに舌鼓を打つ

    

面白かったマンガの紹介です

Escapism ツナ https://www.pixiv.net/user/510493/series/6191

ロボット二人の逃避行のマンガ、読め

 

さすがに端折りすぎなので、ざっくりとライナーを書くと

 

ロボットなのに、人間と同じような感覚がプログラムにあって 

皆が仕事をこなし、不満や疲労を日々の小さな幸せや愚痴で凌いで 

生活をしているロボット達の世界

 

たとえば食材のデータを電脳空間で処理(調理)し、データ上の食事を味わう 

彼らの世界にも飲食業があるのだ

 

そんな街で記憶も何も無い1人のロボットがパン作りのうまいロボットと出会う

 

本当は色々と語りたいけど、とにかく読んで欲しい

 ロボットみたいな人間の出る作品がたくさんあるし、人間になりたいロボット

というのも枚挙に暇が無い

このマンガに出てくるロボット達は決して人間の側面を映す鏡などではなく

描き切る題材足り得る存在であった

 

escapism

  1. 〔人の〕現実逃避(癖[傾向])
  2. 〔現実逃避のための〕空想、白日夢

  英辞郎 on the WEB:アルク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騎士道の終わりはいつだったのか

 

 

ドンキホーテググると、サジェストが驚安の殿堂で染まる

 

 ドン・キホーテは騎士道物語の読みすぎで物語と現実との区別がつかなくなった男の話であり、出版は1605年で、この本でも騎士道物語は明確にフィクションであり、昔話の扱いです

 騎士道物語は16世紀が最盛期であり、ブームは終わっているがみんな設定は知っているという時代にこの物語は書かれたワケです

 

 物語としては16世紀まで続いた騎士道ですが、実際のおわりのはじまりは13世紀ごろからでした

 ヒッティーンの敗走(1187年)、ラ・マンスーラの戦い(1250年)などは騎士団による突撃を盲信した結果の分散撃破であり、後世のクレシー、アジャンクールと教訓は活かされませんでした

 また攻囲戦や城砦戦に於いては騎士が大きな役割を果たさなかった(これは攻城兵器の開発による影響が大きい)

 

 騎士の強さは優れたフィジカルと高い防御力、優れた武器の扱いであり、それはまず間違いありません、彼らが騎士となる為に支払うコストは低くなく、容易い道ではないことは保証します

 そして上記の2つの戦いでの敗因は、彼らが騎士だった事です、個人戦闘技術に優れたエリートだからこそ、侮り、戦術を無視し、歩みを整えなかったから彼らはそうでなかった相手に倒されていきました

 

 そして、彼らを蹂躙した異国の戦士のみならず、自国の戦士も彼らの居場所を奪っていく事になっていきます

 13世紀の北フランスの詩人 ギヨ・デ・プロヴァン(Guiot de Provins)は騎士の頽落を批判するギヨの聖書(La Bible Guiot)にて、人がもはや騎士に敬意を払わぬこと、やがて弩の射手や兵器を操作する連中が彼らよりも評価されるであろうと予感し、憤慨するという記述がみられます

 しかし、この鋭い指摘があった時点で戦争での勝敗は騎士ではない戦争のスペシャリスト達の手に渡っていたのです

 戦時のみとはいえ給料制の兵士に志願する者は多く、家を継げない農民の次男坊たちは優れた歩兵や射撃兵に、騎士の次男坊たちは職業剣士(Kämpher)として参加していました、戦争は、彼らのような傭兵集団が陣を作り、戦術を用い、激しく争う場所へと変貌していきました

 そんな中で頭角を現すチャンスを失い腕試しをしあう騎士達の姿は騎士道物語とは全く違う印象を抱くでしょう、彼らは自分たちが活躍できる試合という戦場を用意したのでした、糊口を凌ぐための賭け試合に近かった馬上試合は武力階級である彼らを抱えることでパトロンである王族や貴族の権勢を示す場となりました

 馬上試合のブームは二回あり、最初は12~13世紀、次は15~16世紀でした

 そして宮廷入りした騎士達はその精神性や宮廷風愛と呼ばれる文化的側面を押し出していき、下級貴族化していきます、16世紀の騎士位者は小規模な農園経営者か名誉職だけとなっていました

 戦争の主役は火砲であり、歩兵による密集隊形による戦い方へと移りました

 しかし戦場では姿を消しても、白銀の鎧と馬、鍛錬で得た恐るべき力を持つ信仰の戦士は象徴的、神秘的な存在として物語に登場し続けたのです、誰もが知っていて、それを茶化した小説が書けるぐらいに

 

 テリー・ギリアム監督作品  

ドン・キホーテを殺した男 予告編

youtu.be

 

参考にしたもの

ジャン・フロリ著 新倉俊一訳 中世フランスの騎士

伊東泰治 宮廷騎士文学と宮廷の生活形式

ホイジンガ 中世の秋

 

 

 

 

 

 

 

タクアン食べきれてますか?

一人暮らしだと一本丸々のタクアンを食べきるのが厳しいです・・・

(次点:レタス)

 

白米とタクアンはセットで

その流行は江戸時代中期にはじまります、江戸に集められた年貢米は副産物として糠を生み出しました

一方で、白米を常食する江戸の人間にはビタミンB1欠乏による江戸患い(脚気)が起きていました

庶民の食生活の観察から糠が脚気に効くことの発見

その中で生まれたのが干し大根の糠漬け→干し沢庵が誕生

そこに合わせて、栽培に適した関東ローム層により生産を広げた練馬大根が重なり

江戸は沢庵の一大生産地となったのです、それは昭和初期まで続き

 他にも御器所(ごきそ)、伊勢、阿波などが主生産地であったそうです

 

タクアン貿易

望郷~夢見るたくわん

広告に見る「タクワン貿易」と日本文化

http://www.jomm.jp/newsletter/tayori25_01.html

 

 「タクワン貿易」―それは、日本人移民が単に「たくわん」を日本から輸入した・・・というだけの話ではありません。もともとは、仲間同士で食材や調味料などを細々と日本から送ってもらっていたことに端を発し、やがてそれを専門に扱う店や貿易商が現れ、事業として発展していきました。最初は、醤油や味噌、酢をはじめ、保存のきく調味料や乾物などが中心でしたが、やはり日本人の食卓とは切っても切れないたくわんまで輸入していたことから、いつしか「タクワン貿易」と呼ばれるようになったのです。当時の日本人移民の、日本食に対する憧れや望郷の気持ちがたくわんに込められているのかもしれません。 (上記HPより引用)

 タクアンの缶詰と言うと自衛隊の戦闘食糧Ⅰ型が有名ですが、その源流はこのタクアン貿易で誕生したもので、他にも豆腐、かまぼこ の缶詰が確認されています

 

軍とタクアンの関係は古くからあり、それがタクアンに新しい風を起こします

 

バリボリと音を立てるタクアン

タクアンと言えば、黄色くて、甘塩っぱくて、パリパリしてて・・・でも、変わらない味の中身が変わっているの知ってました?

 

本来のタクアンは、干した大根を塩と糠に漬けたもので、糠に棲む枯草菌の産出物によって黄色から褐色に染まり、糠の麴菌の活動によりデンプンの糖化が起きて甘塩っぱい味になったもの、でも食感はしなっとしたものでした

 

パリッとした食感が加わったのは、昭和15年頃、軍納タクアンに設定されたマル公価格に合わせて安価なタクアンを作ろうと中野、練馬の業者が研究して生み出した塩押しタクアン(干し大根の代わりに大根の塩漬けを使ったもの)が誕生してからです

このタクアンは東京タクアンと呼ばれ、その食感が受け日本全国に広まっていきました

 

他にもコスト対策の中で生み出されたアイディアは多く、塩ではなく砂糖で水分を抜く糖しぼり、糠ではなく小麦のふすまで漬ける、着色料で黄色く染める、甘さを甘味料で加えるなどの現在でも続くタクアン製造のイロハが生まれたのでした

 

タクアンの成分表示やパッケージに上記の言葉があるのを見つけて、その背景にある時代の流れと食べる人の元に届けようと努力した人々に思いを馳せてみては如何でしょうか?

 

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参考

中部漬物協会 創立10周年記念シンポジウム

幻の大ヒット商品 信州早漬たくあんを語る

www.tsukemono-japan.org/symposium/2012/1121symposium.pdf
 
 
 

 

たくあん漬けの歴史 | 野崎漬物株式会社

 

統計・資料:漬物ポータルサイト:全日本漬物協同組合連合会

 

国立国会図書館デジタルコレクション - 軍隊炊事参考書

 

 

武士は食わねど高楊枝、腰には倭杖

 

明治10年(1877年・丁丑)三

三月十八日より、榊原鍵吉が倭杖(やまとづえ)を売り出す。(読売新聞317320

http://blog.livedoor.jp/misemono/archives/52141496.html

 

この見世物興行や広告をまとめたブログ(見世物興行年表)、非常に面白くて閲覧していたのですが

その中でこの倭杖なるものを見つけ少し渉猟してみました

 

倭杖 廃刀令で刀を差せなくなって腰がさみしくなった旧士族の要望に剣客 榊原健吉が考案した樫材を平六角に切って 太刀もぎ と言う小さな鉤をつけもの。焼印で官許、倭杖、榊原健吉と入れた。(図解・隠し武器百科/名和弓雄)

 

木刀(乳切木や六角棒に近いかも)に武器を鹹め取る鉤が付いた十手の親分みたいなものみたいです

 

榊原健吉は廃刀令で行き場を失った剣客たちを集めて撃剣興行を行い、剣道に貢献した人物として2003年に全日本剣道連盟の剣道殿堂に顕彰されています

最後の剣客と謳われ、天覧試合に於いて胴田貫で明珍の兜を割った人です

 

倭杖の宣伝用のビラ(最初のリンクにあります)を見ると、一般の人に向けてのセールスがきっちりされており、自衛用武器として広めることで運用方法である剣術を生き残らせようとしていた剣客の苦心(実際、生活は厳しかったようです)が感じられる気がします

 

他にも畳んだ扇子型に木材を加工した頑固扇(手慣らしの一種)というものも販売していたようです

 

この話は榊原健吉の法名で終わりにしたいと思います

義光院杖山倭翁居士

倭杖を差して最後の剣客は去ったのでした

 

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関連して

直心影流関係資料 - 100ren ページ! - 直心影流百錬会 倭杖 榊原健吉作

https://100ren.jimdo.com/%E4%BA%A4%E6%B5%81%E5%9B%A3%E4%BD%93-%E9%96%A2%E4%BF%82%E8%B3%87%E6%96%99%E4%BB%96/%E7%9B%B4%E5%BF%83%E5%BD%B1%E6%B5%81%E9%96%A2%E4%BF%82%E8%B3%87%E6%96%99/

 

剣術の歴史・撃剣の誕生