(注意:ゲームのネタバレを含む)
少し前にEpicGamesがRemedy Entertainmentの傑作アクションゲーム
『AlanWake』を無料配布していた
ざっくり言うとバイオハザードをスティーブン・キングで味付けしてツインピークスを利かせたような作品でアクションゲームである
この作品はアクションゲームとしての面白さに作品のテーマが隠れてしまっている、実に語れる内容なのだ
タイトル名のアラン・ウェイク、これは主人公の名前で、売れっ子の作家という設定になっている
しかし、人気とは裏腹に本人は長いスランプに陥っており、それから逃避するために妻と田舎町に観光旅行へと訪れた______と言う導入ではじまり、トラブルをアクションで解決していくのがゲームの本筋なのだが、そこは実際に遊んでもらうのが一番なのでここでは作品テーマを語っていく
ネタバレ全開で説明すると、町の湖に潜む闇と呼ばれる超自然的な存在が、高いインスピレーションを持つ芸術家を媒体にして外の世界へ出てこようとしていて、媒体として狙われたアランは妻を人質に取られ、『ディパーチャー』という小説を書きあげる
そしてそれは我々が遊んでいる『アラン・ウェイク』というゲームなのだ
クリアした人は知っているが、ゲーム中でアランは光の守護者として闇を撃退する
自分で書いた小説に自分役として出ているのだ、これは自分で書いた小説に自分が出る事で闇が自分に手を出せないようにするフェイルセーフの面があるのだが
これによりゲーム内に出る人物は皆、アランによる創作の影響を受けるようになった
アラン本人も含めて
だから、ご都合主義のような展開が後半になるほど出るようになり、物語の歪さは大きくなっていく、アランが懐中電灯で照らしたり、散弾をブチ込むのはオマケである
そう、懐中電灯で照らしてから、散弾をブチ込むのだ、このゲームでは敵は光を当ててバリアを剥がさないと倒すことが出来ないゲームシステムになっていて、アクションに深みを与えている
光と闇という抽象的になりそうな対立をうまく落とし込んである、発売当時、このゲームをやり過ぎて、夜道を歩くのが怖くなり、飲み会の帰り、街灯の明かりが本当に有難かったのを思い出した
この秀逸なゲームシステムに隠れてしまっているが、光と闇の対立に対する答えがテーマと言える
ゲームを遊んでいると自分は光の側で、闇と戦う対立の最前線にいるので分かりにくいが『アラン・ウェイク』は打倒や排除の物語ではない
誰にも光と闇があり、どちらかの側に立って争うのではなく、自分の中のそれらを照らし合わせてよい選択をアウトプットし続けることが大切であると
だからこそアランは物語の最後で妻と抱き合わずロッジの部屋でタイプライターに向かい続けることを選んだ
作家で、しかも書いた小説が現実になるようになったら、誰でも責任を感じるだろうから当然だと感じるが、我々だって同じように誰かに影響を与えるのだ
頭の中の人物像に照らし合わせて、現実の本人と対峙している
ゲーム終盤、ゲームの案内人であるゼインがアランに語りかける
心を光で満たせ、と
そして、このゼインという人物は心の光と闇を最も体現している
言わば彼はアランの前任者であり、闇に媒体にされかけてアランのように撃退した
ただ、その方法は闇に囚われた恋人を殺害し、作品を処分して闇の力が広がるのを防ぐという荒っぽいものだった
闇と対立しているからと言って、彼の行った行為が光の側ではない事をゼインは象徴している
さらに言えばアランによって光の側として登場したゼインも闇から解放されるためにアランを利用したとも受け取れる演出がある
アランはゲーム中に何度か呟く、ゼインは失敗した、と
我々はいつでも自分 次第でトーマス・ゼインにもアラン・ウェイクにもなれる
Remedy Entertainmentの新作『Control』が海外では8月27日、日本では今年の秋予定となっています
https://www.remedygames.com/games/control/